『福祉よこはま』129号

2003年9月
レポートよこはま●情報技術でつながる・広がる
 パソコンをはじめ電子メールやインターネット、携帯端末などIT(情報技術)の道具の広がりは、障害のあるなしに関わらずさまざまな人たちを多角的につなげる役割を果たしてくれます。
 IT応用のコミュニケーションづくりやパソコンボランティア活動に取り組む、横浜の2つのグループを訪ねました。
インターネットで街に出かける 街が変わる
青葉バリアフリーサポート21[ABS21] バリアフリーマップ作成のため街を探索中のメンバーの写真
◆青葉バリアフリーサポート21[ABS21]
設立:2000年1月 活動拠点:青葉区役所別館ほか脳性マヒ、脳疾患障害、視覚障害、知的障害、脊髄損傷、難病など外出が困難な人とその家族を含めてメンバー構成は現在47名(20代〜70代 男29 女18)。
代表 三竹眞知子さん
ホームページ http://ran.sakura.ne.jp/~abs21/group/
(連絡先 ABS21事務局 abs21-hq@egroups.co.jp 
青葉区社会福祉協議会 
電話:045-972-8836 )
 東急田園都市線江田駅前に、青葉バリアフリーサポート21[ABS21]の人たちが集まってきました。 9人のスタッフが揃って、さっそく街歩きに出かけます。 青葉バリアフリーマップの表紙の画面
 [ABS21]は横浜市青葉区とその周辺地域で、障害の有無に関わらず誰もが快適に暮らせる街づくり、 交流促進に取り組むボランティアグループ。まち歩きはホームページ制作、インターネットサロンの運営や パソコン関連講習会の開催などと並ぶ活動3本柱の一つ、「あおばバリアフリーマップ(青葉区社協との共催事業)」 作成にいかす現地調査のためです。
 障害のないスタッフも、障害のあるひとの視点を養ってきました。店員とのやりとりを通して、 人と人のバリアフリー化を促しながら、食べるところ・遊ぶところ・便利なところを探してホームページに発表しています。
気づく・変わるきっかけ
対談を受ける三竹さんと栗木さんの笑顔が素敵な写真  江田駅周辺のいろいろな店舗を回る一行。 見た目にはわからないちょっとした問題点が、ゆっくり歩いてみると見えてきます。 段差が気になるのは車いすばかりと考えがちですが、視覚障害や片麻痺の人にも 歩きづらさを感じさせる要素があります。
 3年前に始めた街歩きに最初から参加している栗木正壽さんは 「さまざまな障害のある人たちと一緒にまちに出かけることが大切だと思うようになりました」 と言います。
 物理的なバリアはある面、改善の限界があります。しかし、 多様な障害との接点をスタッフや介助ボランティア、まちの人たちが多く持つことで誤解がとけたり、 理解を深めるきっかけになるから、というわけです。初回の訪問では難色を示した店舗や商店街が、商店会の会合で、 取材協力依頼をしてくれたり、改修をして迎えてくれた例もあります。
 障害のある人たちがまちへ積極的に出ていくことで、まわりの人の気づき・変化を促進しているようです。
対等なヨコのつながり
 [ABS21]は“障害者が主体”でも“健常者主体”でもない“人と人の関係はあくまで水平で対等”であるという考え方を貫いています。「まちのたまり場、多世代交流の場だった銭湯が姿を消しているが、その代わりが私たちの会になっています」という栗木さんの言葉の通り、[ABS21]を知り、メンバーになった人たちはいろいろな効果をメールで寄せてきます。
 障害の有無に関わらず人と人との「接点のなさ」からくる社会性、想像力の低下が地域の一体感を弱めているとすれば、[ABS21]のような活動が多くの地域に定着することで対等なヨコのつながりは復活していくかもしれません。
  • 障害者を対象としたパソコン講座は、マウスとキーボードを扱えることが一般的な条件。 「ABS21にインターネット接続と電子メールの設定を依頼したら自宅まで来てくれた」ので会員になった
  • メールはバリアをなくすのだと実感した(視覚障害者)
  • 自分の身にふりかかった障害を通じて、初めてほかの障害のある人たちのことも思うようになった(外出がままならない会員)
  • また来ようね、と何度も言う息子を見て親子揃って楽しい経験ができた (バリアフリーお絵かき教室に参加した自閉症児の母親)
 本文のウェブ化については、発行元のご了承を得ております。
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