「特別講義の報告」10月10日実施

2000年10月10日に実施した「特別講義」の概要を報告します。

武蔵大学の授業の一環として、社会学部の4年生百数十名を対象に行われました。

  <総合テーマ>
「コミュニケーションと社会変化:日本のメディア・コミュニケーションの新しい潮流」
1.(10/3/2000) エスニック・メディア:ヒトの国際移動を支えるメディア
3.(10/17) ビデオ・ジャーナリズム:ジャーナリズムの新しい展開

<テーマ>2.インターネットが可能にしたコミュニケーション・ボランティアと
バリアフリー・ボランティア:横浜市「青葉バリアフリーサポート21」の試み

● 日時:10月10日(火)10時40分から12時10分まで
● 場所: 武蔵大学第二小講堂
●講師
 三竹眞知子:青葉バリアフリーサポート21(ABS21)代表
 木庭袋 純:青葉バリアフリーサポート21(ABS21)発起人

●内容
(1) 新しいインターネット活用法が可能にしたコミュニケーション・ボランティアの
試み:
パソコンやインターネットの活用は、障害のある人にとって「自立と社会参加」への
可能性を拓き、自己実現をはかるものです。「自立と社会参加」にとって、
コミュニケーションスキルの必要性は、言うまでもありません。
PCの環境整備等に関わる「技術ボランティア」や「パソコンボランティア」、
情報を収集し提供する「情報ボランティア」の役割だけに終わらない
コミュニケーションスキルを磨く場におけるコミュニケーション・ボランティアが
生まれました。
これは、安否確認、心のふれあう話し相手、ピアカウンセリングといった
カウンセリングマインドのある人々と関わる社会体験の場で、生身の人間
お互いに快いコミュニケーションを目指して、交流することをねらいとしています。
人間関係を切磋琢磨するといった要素を含む、心のバリアフリー双方向対応のボランティアです。
発言になれない人も、安心して、発言し、仲間がそれを見守ります。
「つながる」喜びを共感しながら、個性を認め合った交流に発展させたいものです。

(2)新しいインターネット活用法が可能にしたバリアフリー・ボランティアの試み:
バリアフリー・ボランティアは、性別・年齢・学歴・宗教・政治・職業・人種・民族・国籍・
障害のあるなしに関わらず、フラットな関係で、活動時間・地域を越え、
目的に応じたボランタリーな活動をします。
ABS21では、障害のある人も、そのご家族も、ボランティアの立場でかかわります。

(3)ABS21のバリアフリー社会(ノーマライゼーション)への試み:
障害のあるなしに関わらず、個性を伸ばし、認め合い、共に活動できる喜びが、
障害当事者のエンパワーメントに繋がります。
ABS21を社会参加の場、社会復帰の場として活用し、障害当事者の生活の自立促進に繋げ、
誰もが自分らしく生きられる地域にしていきたいものです。

 以下は、担当教授からです。(一部編集)
お二人のお話は、とてもうまく伝わったと思います。
これまでも大学以外から講演者をお願いすることがありましたが、
学生がこんなに熱心に聴いてくれることはあまりありませんでした。
咳ひとつ聞こえませんでした、これだけ集中した授業は最近では稀なことでした。
学生にとっては、文字通り貴重な機会を戴きました。
介助して駅まで送り迎えした学生にとっても、とてもいい経験になったはずです。
Kさんを同道された三竹さんの慧眼に、いまさらながら驚嘆・敬服した次第です。

  学生の反応を若干----
・「自分たちがふだん当然と思っていたことでも、障害をもっていたりして、
立場が違うと、大きな問題になるということが具体的にわかりました」
・「高齢社会の到来、と字面ではわかっているつもりだったのですが、さまざまな事例を教えていただ
いてとてもrealityをもって理解できたように思います」
・「先生から昨夜突然、介助者求むのメッセージをもらい、
インターネットを通して仲間を募りました。3人が応じてくれたので、
かれらと共にKさんを介助しに駅まで行ってみました。
インターネットの威力を感じるとともに、高齢社会も情報社会も結局、
人が働かなくては物事は片づかないのだということを感じました」、
・「パソコンはインターフェースが向上したとはいえ、障害者を考えると、
まだまだ改良の余地がたくさんあることがわかりました」
など、多くの学生の目から鱗が落ちたようです。

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