6.活動を通してみえてきたもの


ABS21の活動を通して何が見えてきたか、コミュニケーション・ボランティアとバリアフリー・ボランティアとに分けて以下に述べる。

(1)コミュニケーション・ボランティア

「技術ボランティア」や「パソコンボランティア」はパソコンの環境整備等に関わり、情報ボランティア」は、情報を収集し提供する。ABSでは、これらの役割に加え、コミュニケーションスキルの向上、及び、思いやりを育むことを目的とする「コミュニケーション・ボランティア」のニーズが生まれた。これは、心のふれあう話し相手、ピアカウンセリングといったカウンセリングマインドのある人々と関わる社会体験の場で、生身の人間同士お互いに快いコミュニケーションを目指し、バリアフリー社会で自立した市民として活動することを目標としている。
ネットだけでは意思疎通が十分ではない。人間の印象は、身体情報63%、音声情報30%に対し、文字情報は7%しか伝えられないと言われる。電子メールは文字情報だけなので、ストレートに表現された感情的な文章が物議をかもすこともある。この点を留意しながら、相談役もしくは友人として、円滑な交流の体験を通して寛容な人間関係を育てあっていく、豊かな人間関係を結ぶための心のバリアフリー、双方向対応のボランティアなのだ。
「ふれあいMLと称しているが、文字での会話のため、新参者や(管理人/常連者との)対面経験の無い人は孤立しやすい」「サイバー空間のため、介助や生活補助といった物理的ケアや、話し相手遊び相手といった心理的ケアができない」といった意見もあるが、「バランス感覚」と「想像力」など多少の工夫をしながら、掲示板やMLを、障害者の社会参加に不可欠なコミュニケーション能力を磨く場として活用していきたい。
「つながる」喜びを共感しながら、個性を認め合った交流に発展させたい。
(2)バリアフリー・ボランティア

インターネットの活用で、障害のある人が、単なる利用者からバリアフリー・ボランティアへ成長した。ボランティアスタッフのバリアフリー化なのだ。
バリアフリー・ボランティアは、心のバリアフリーをめざし、性別・年齢・学歴・宗教・政治・職業・人種・国籍・障害のあるなし、障害の種別に関わらず、フラットな関係で、時間・地域を越え、自立した市民として目的に応じたボランタリーな活動をしていく。
当事者に対し、やってあげているだけでは、お膳立てした環境に慣れてしまう。主体性がなく、やってもらっているだけで、何を理解していいかもわからない人もいる。ABS21は、障害があってもなくても外出が困難な人々でもできる社会参加の場を確保し、ピアサポート(互いに助け合える)もできるボランティア活動をしている。聴覚障害者や視覚障害者、肢体障害者などの障害者相互の連帯や相互理解を深め、さらに、チームワークを学ぶ場である。


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