1.はじめに


ABS21は、バリアフリーに関する、立場を問わない人間相互のコミュニケーションの場、さらには人間関係の創造の場を目指し、メーリングリストを運営会議の場として2000年1月に、障害のある方々(脳性マヒ) と3名で立ち上げた組織である。

地域に住むひとたちが生活の質(QOL)向上のために、障害の有無や障害の枠を超えた情報交換と交流、すなわち、バリアフリーコミュニケーションの場の提供と社会参加の促進により、ノーマライゼーションの街づくりをめざしている。外出や発話が困難な人を対象としているので、パソコンおよびインターネットを多用し活動を展開している。これは、青葉区社会福祉協議会当事者研修会主催のコミュニケーションセミナーでの参加者のニーズを形にしたものである。

ABS21は、OF(障害のある人が主体)でもFOR(障害のある人のために、健常者といわれる人が主体)でもなく、TOGETHER-WITH(共に)の関係で進めていく。障害があってもなくても、人間同士お互いの関係はあくまでも水平で対等な、すなわちパートナーである。

障害者の「障害」とは、肉体的障害、物理的障害、社会的障害である。肉体的障害は取り除けないが、後の二つは努力すれば取り除ける。自立の応援は、いつでも何でもやみくもに手を貸すことばかりではない。本人が自ら決定し自分で責任を持ち、体力面、精神面、思考面で、その人本人の意思により介助などを得て、可能な限り、自宅と地域での社会生活を継続できるよう自立を求める援助理念を試行錯誤しつつ実行している。

人は70歳以上になると、75%の人々が何らかの障害を抱える。だれもが加齢や病気・事故などで障害を持つ可能性がある。障害問題は自分自身のこととしてとらえたい。まちづくりという観点で、障害のある人を弱者にしている環境(社会状況)改善を視野にいれている。

人間は社会的動物である、といわれている。人間が人間らしく生きるためには役割が必要である。他者とのかかわりの中で、人間は楽しく豊かな時間を送れる。社会的な存在価値を自他共に認められるように、障害があってもなくても自分の能力を発揮しお互いを大切にできる場をつくりたい。それを具体化したのが、このABS21というコミュニティである。

ABS21では、障害のある人も適切な役割をみつけるように、その役割を遂行できる場面を創出している。核家族化が進んでいる現在、身内以外の人と暮らしていかなければならない時がやがてはやってくるだろう。ホームヘルパーはじめ周囲の方々に、やって欲しいことを上手に頼めるように、コミュニケーション能力と人間関係のマナーを磨いてほしい。そして、このコミュニティを気心知れた社会勉強の場として十分活用してほしいと願っている。

志を同じくする仲間と「つながる」喜びを共感し、お互いを大切にしながら、個性を認め合う交流に発展させたい。


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